とてもドキドキする本を読みました。
それが「サインの報酬」(東京図書出版会、写真)。
著者は日本自転車振興会(現JKA)の審査部長を務めた源城恒人氏。昭和40年代の競輪で行われていた八百長レースの実態をつづったノンフィクションです。
当時の八百長は、選手が首謀者に向けて「サイン」を送っていたとのこと。選手紹介(競艇でいう周回展示)のときに手で体のどの部分を触るかによって、フェンスの外にいる首謀者に買い目を伝えるシーンが出てきます。
レースの“作り方”は、おもに2種類。
ひとつは「本命殺し」で、もうひとつは「消え」。
前者は、自分が本命でないときに本命選手に競りかけて着外に落とす方法。後者は、自分が本命のときに自ら着外に消えてしまう方法。
どちらも複数の選手間で共謀するのではなく、単独でレースを“壊し”にかかる「ひとり八百長」と呼ばれるものです。
で、読後に感じたのは……ホントに不謹慎な言い方ですけど「八百長っておいしそうだなあ」ということ(^^;。特に本命殺しのほう。
というのも、当時の車券の主流は枠番連勝単式。枠は6つだから、ゾロ目を無視すれば買い目の数は競艇の2連単と同じ。もし競艇で「本命ともうひとりが着外になる」とわかっていたら、勝てそうな気がしません? 本命が消えるから残りの買い目はすべて中穴以上になるわけで、回収率も高くなりそうだし。
さらに、運営者側にとって八百長の立証が難しそうな点も有利。八百長に加担した選手が不可解なレースをしたとしても、「競りで脚を使ってしまった」「体調が悪かった」と主張すればそれ以上は突っ込まれる余地はないわけだし。
この本では、運営者側が綿密な調査を行って首謀者を特定し、選手との接点を見つけたことによって八百長レースを暴いた例が挙げられていますけど、すべてがスムーズに解決できたとは限らないはず。
だから、八百長の“検挙率”って決して高くはなかったのでは? と思うのです。
ところで、あとがきによると草創期にはこんなこともあったそうで。
「発足後三年余の間は、出走直前の選手が車券買いに奔ったり、主催者の職員が『君達も景気づけに、ひと役買ってくれないか』と選手を煽って車券を買わせる場面さえ見られたという」(268ページ)
こうなると、もはや八百長以前の話ですね(^^;。
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2009年7月4日 at 18時34分42秒
競艇選手の八百長はジャージの色で仕組みですよ。
2009年7月6日 at 8時55分02秒
なかなか複雑そうな仕組みですね。