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「極道記者」塩崎氏の“超抜”リーマン時代

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実録 極道記者 今日で仕事納めという方も多いのではないでしょうか。
 そこで、この年末年始におすすめしたい本を紹介します。それが、塩崎利雄氏の「実録 極道記者」(祥伝社)。今年11月に発売されたばかりの書籍です。

 このブログを読んでいる方ならば、塩崎氏のことを知っているでしょう。競馬記者時代の実体験をもとにした小説「極道記者」や、日刊ゲンダイで20年以上も連載を続けている「ウィークリー馬券小説・止まり木ブルース」を書いている人。
 「実録 極道記者」は、これらの小説の誕生秘話や、塩崎氏自身の嵐のような半生をふり返るエッセイ集です。

 この本を読んで、強く印象に残った点はふたつ。
 ひとつは、塩崎が17年にもわたってサラリーマン生活を経験していること。勤務していたのは、当時、弱小スポーツ紙に過ぎなかった東京スポーツ(東スポ)で、職種は競馬記者。けっしてお堅い会社員だったわけではないのですが、根っからのヤクザ者だとばかり思っていた塩崎が、民間企業に勤め、会社員であれば誰もが経験する社内のドロドロとした人間関係や、派閥間の不条理な力学を経験していた事実は新鮮でした。
 サラリーマンの気持ちがわかるからこそ、東スポやゲンダイの読者に受け入れられる小説を書けるのだろうな、と思います。

 もうひとつは、塩崎の馬券に対する考え方。
 「馬券の上手下手は、回収率や的中率で測るもの」という価値観が一般化しつつあるなか、こんな持論を述べています。

 確かに勝負で勝つという意味では最終的に「いくら儲けることができたか」が肝心ではあるが、勝負師という立場から見れば結局「いくら張れるか」こそが重要だと思う。自分の買う目に自信がある、確信が持てる。そしてなにより信念を貫いて勝負ができる。その度量を計るものが、いくら突っ込めるのかということではないかと思っている。(83ページ)

 ”古くて新しい馬券観”とでも呼ぶべきものかもしれませんね。
 一方、3連単馬券については、シビアな見方をしています。

 まあ、考えてみれば3連単の場合、確かに一撃の破壊力はあるにせよ、その恩恵にあやかれる確率はたかがしれている。単純に75倍の配当ならば、当たるのはせいぜい100人にひとり、100万馬券に至っては1万2000人にひとりの計算になる。これではもはや博打などといえる代物ではない。単なる”くじ”である。(38ページ)

 ただ、信念を貫きすぎて失敗したことも多いようで、馬券でつくった借金も半端ではなかったみたい。”借金慣れ”してしまったかのような、開き直りともとれる、こんな記述も。

 ・「いくら儲けるかではなく、いくら張れるか」この言葉に美学を感じるようになっていったのだから、借金の額は芋蔓式に増えていくに決まっている。(25ページ)
 ・「借金というのもひとつの財産である」ということだ。(29ページ)

 数千万の借金に追われる塩崎氏を救い続けたのは、「モガミ」の名を冠した競走馬を所有していた最上恒産の早坂太吉氏。
 早坂氏をはじめとする競馬サークルにうごめくバブル紳士や、競馬サークルの著名人との交友もリアリティたっぷりに描かれています。
 この冬、最高におすすめの1冊。

コメント 2件 to “「極道記者」塩崎氏の“超抜”リーマン時代”

  1. シルクベルベット さん:

    小説「極道記者」はわりと知られてますが、芳文社から出たコミック版(全3巻)もかなりの傑作です。劇画ならではの切り口と、生々しさがいい味出してます。平和島競艇も出てきますよ。
    昭和56年初版ですから絶版でしょうが、古書店を根気よく探せばたまに出てくる程度に流通していると思います。


  2. takay さん:

    >シルクベルベットさん

    どうもありがとうございます!
    きっとコミックならではの味わいがあるのでしょうね。
    読んでみたいですし、コレクションもしたいので、あちこち探し
    まわってみたいと思います。

    ちなみに、奥田瑛二の映画版を見たことがあるのですが、
    残念ながらこちらはおすすめできません(笑)。


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